〜結婚記念日・夜 風呂上りの2人〜
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《レスリー》
「どうかしたのか?」

《ジェーン》
「ええ、結局結婚記念日のプレゼント、もらってばかりだと思って。」

《レスリー》
「君は花をくれただろう。」

《ジェーン》
「だって花はレスリーが一生分くらい買ってきて飾ってくれたし、
美味しい食事にも行ったし、私があげたのってレスリーが捨てちゃったじゃない。」

《レスリー》
「確かに僕は君に迷惑しかもらってないな。」

《ジェーン》
「う・・」

《レスリー》
「だが反省したのなら、もう僕はとやかく言ったりしないし気にしない。」

《ジェーン》
「うーん、でもやっぱり私からレスリーにあげたものがないっていうのは、
何だかしっくりこないわ。」

《レスリー》
「・・・・。」


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《ジェーン》
「もう遅いし、今から買いに行くのも無理よね。」

《レスリー》
「・・・別に、物でなくとも・・。」

《ジェーン》
「え?」

《レスリー》
「いや・・・何でもない。」

《レスリー》
(欲しい物ならある。だが・・まあ、今日は歩き回って疲れただろうしな・・。)

《ジェーン》
「あ、そうだわ。レスリー、じゃあ温めてあげる。」

《レスリー》
「・・・・は?」

《ジェーン》
「ええ、これならお金もかからないし・・。」

《レスリー》
「ちょ、ちょっと待て。」

《ジェーン》
「はやく、ベッドに入って?レスリー。」

《レスリー》
「じぇ、ジェーン・・・本当に・・?」

《ジェーン》
「ちゃんと右側開けてね。」

《レスリー》
「・・・っ・・・。」


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《レスリー》
「・・ん?どこに行く?」

《ジェーン》
「準備よ、準備。」


エヴァンズ夫人はドギマギする旦那に背を向けて、1階に下りて行ってしまった。


《レスリー》
(どういうことだ?)


戻って来た時、手には2人分の湯気が立つカップ。それに妖精事典。



《ジェーン》
「はい、ホットミルク。よく眠れるでしょう?」

《レスリー》
「・・・・・。(こんなことだろうと思った。)」

《レスリー》
「で、君は何で僕の本なんか抱えてるんだ。」

《ジェーン》
「あら、寒い夜にベッドで、ホットミルクと本があれば、
 やることはひとつでしょう?」

《レスリー》
(・・ベッドだけで十分なのに。他は意味がわからん。)

《ジェーン》
「ふふ、ベッドタイムストーリーでしょ?」

《レスリー》
「・・はあ、そうきたか。でもそれじゃあいつもと同じだろう。
 僕が読むのだから。」

《ジェーン》
「ううん、今日は私が読んであげるわ。」

《レスリー》
「君が?」

《ジェーン》
「あら、ちょっとは読めるようになってるんですからね。」



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エヴァンズ夫人はいそいそと旦那の隣に潜り込んで、分厚い本を広げた。


《ジェーン》
「じゃあ読むわね。」

《レスリー》
「別に僕の本を僕に読み聞かせなくたって・・。」

《ジェーン》
「いいから。」

《レスリー》
「・・・ところでジェーン・・腕を組む必要があるのかね。」

《ジェーン》
「え?えっと・・だって・・こうしていたほうが温かいでしょ。」

《レスリー》
「・・・・。」

《ジェーン》
「・・・ね。」

《レスリー》
「・・・そうだな。」

《ジェーン》
「ホットミルクを飲みながら、温かいベッドで寝る前にお話を読むの。
 すごく贅沢じゃない?」

《レスリー》
「ふ、安い贅沢だな。」

《ジェーン》
「もう!私にはとっておきなのよ。
 だから、あなたにも分けてあげようと思って。」

《レスリー》
(君にとっては一番の贅沢というわけだ。だが・・。)

《レスリー》
(僕の欲しい物は目の前にありながら手が出せないんだ。)

《ジェーン》
「… …で…」

《レスリー》
(・・・本物をもらうのは、終わってからだな。)



けれどそのまま結局寝てしまうエヴァンズ夫人でした。
<了>




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